【拍手纏め16〜30】










・16

「――についての本はあるかい?」

「えぇっと、ちょっと待ってくださいね……あぁ、あります。それじゃあご案内しますです」

「あぁ、すまないね」

「いえいえ、これも私の仕事なのですよー♪」

「――あら、小悪魔ったら此処に居たの。さっきから探してたのよ」

「あ、パチュリー様すいませんです。今香霖堂さんをご案内してたのですよ」

「霖之助を?」

「やぁ、パチュリー。お邪魔してるよ」

「……そう言えば、今日あなたが商品を届けに来るって咲夜が言ってたわね」

「あぁ、先程取引を終えて此方に来たんだよ」

「ふーん……。まぁ、私の研究の邪魔をしたり、本を勝手に持って行ったりしない限りは好きにして良いわよ」

「…………相当魔理沙に盗られているようだね」

「……まぁね」

「それじゃあ、これはお気に召さないかな?」

「? ……ッ! これ、魔理沙に盗られた本じゃない!」

「やっぱりそうか。実はこの前、魔理沙が『もう読み終わったからいらない』と言って置いてったんだよ」

「……むきゅー……」

「恍惚とした表情で本を抱きしめている……」

「本が戻ってきたのが、よっぽど嬉しかったんですねー♪」


 小悪魔が妙なキャラになってる……。




* * *





・17

「……うぅむ、しまった……」

「何が『しまった』なのかしら?」

「いや、そろそろ店に帰ろうかと図書館を後にしたんだが……」

「迷ったの?」

「あぁ、大は小を兼ねる、とは言うが此処まで広いのも考えものだな。そのくせ案内板の一つも無い。これでは客に迷えと言っているようなものだ」

「あら……それはまるで、私が悪いみたいな言い草ね」

「……そう言えば、紅魔館の空間を弄っているのは君だったか――咲夜」

「気付いてたの?」

「当たり前だろう。独り言で会話をするほど耄碌して無いよ僕は」

「…………そう」

「その間は何だ?」

「何でもないわ。それよりもついて来て、案内するわ」

「やれやれ……」


 咲夜さんのキャラが解らない……。




* * *





・18

「…………で、何故僕は此処に居るんだい?」

「あら、『出口に案内する』だなんて一言も言ってないわよ。それじゃあ、頑張ってね」

「いや……頑張って、って一体何を……」

「おにーちゃーーーん!!」

「ごふッ!?」

「あらあらフラン、そんなに勢い良く飛びついたら壊れちゃうわよ? 私達と違ってそいつは脆いんだから」

「うー……でも、早くお兄ちゃんに会いたかったんだもん!」

「うぐぅ……それはありがたいが、出来れば早く退いてくれないか……」

「あ! ごめんねお兄ちゃん!」

「やれやれ」

「面白いくらい飛んだわね。本ばかり読んでるからなよっちいのよ」

「吸血鬼から見れば他の生物は大抵脆弱だろうね。……で、用事はなんだい?」

「……フランが貴方に会いたがってる、と知ってるくせにそういう事言うのかしら? この口は」

「いや、解ってはいるんだがね。君等に付き合うと否応無く泊まらされる事になるからね」

「当然でしょ、夜こそが私達の時間なのだから」

「ねーねー! 今日は何して遊ぶー?」

「はいはいフラン、その前に食事にしましょ。この前みたいに途中で倒れられても困るでしょ? しっかり栄養取ってもらわないと」

「はーい!」

「…………やれやれ」


 拍手SS15からの連作で【紅き妹と森の兄】の後日談的な話です。
 それにしてもこれじゃあ、妹様が唯のロリっ子だw




* * *





・19

「さむ……ストーブはつけておいた筈だが……ん?」

「あ、りんのすけ起きたのね!」

「……チルノ? さてはストーブを止めたのは君か。寒いじゃないか」

「あら、冬が寒いのは当たり前の事よ? 不思議よね、人間って。冬はこんなにも心地良いのに」

「それは君等の感覚だろ、レティ・ホワイトロック? 大多数の生命にとって冬とは死を意味する季節だよ」

「あらあら、それは私達が異端だとでも言うのかしら?」

「必要な要素ではあるだろうけどね。有難くない事は確かだ」

「ふぅん……折角のお客さんにそんな事言って良いのかしら?」

「りんのすけ、これ頂戴!」

「勿論代金もあるわよ」

「よく来たね二人とも、ゆっくりしていくと良い。……あぁ、今お菓子も出そう」

「その身代わりの早さには、呆れを通り越して笑えるわね」


 此処から妖々夢編。




* * *





・20

「ねぇ店主、何か猫達を従えるのに良い物無い?」

「……何打藪から棒に。毛繕いでもしてやれ」

「そんなんじゃなくて、すぐに効果が出る奴!」

「ふむ……。ちょっと待ってろ」

「わくわく!」


 ――青年探索中。


「これでどうだ?」

「何これ? なんかの入れ物?」

「あぁ、それは缶詰と言う外の世界の品でね。中には猫の餌が入っているらしい」

「ふーん……ジュル……」

「…………今、自分が食べたいって思っただろ?」

「――ッ!? お、思ってない! 私そんな事思ってないんだからね!」

「……持ったまま出て行ってしまった……。まぁ、良いか」


 数分後、缶詰が開けられないと橙が戻って来たそうです。




* * *





・21

 ――カランカラン。

「やぁ、いらっしゃいアリス」

「店主さん、白い布あるかしら? 出来れば大量に」

「白い布? あるにはあるが……それほど量は無いぞ?」

「構わないわ。あるだけ頂戴。代金も用意してあるから」

「毎度あり。……と、雨が降ってきたな」

「あ、ほんとだ……。これじゃあ、帰れないわね……傘も持ってきてないし」

「仮に持ってきたとしても、この量の荷物を持って帰るは大変だろう。雨が止むまで此処で休むと良い」

「……良いの?」

「君は大切なお客様だからね。これぐらいのサービスはするさ。どれ、今お茶を煎れて来よう」

「……ありがとう」


 アリスが香霖堂で人形の素材とか買ってるのは基本ですよね?
 某スレ的な意味で。




* * *





・22

「――は? 僕がヴォーカル?」

「そうなの。今私達は新しい方向性の模索としてるのよ。で、その結果辿り付いたのが――」

「ヴォーカルの追加って事なのよ! 貴方は見た目も結構なものだし、きっとスターになれるわ!」

「いや、僕はそういうのには興味はないんだが……」

「お店の宣伝にもなると思いますけど……駄目、ですか……?」

「……解ってる。彼女のあの悲しげな顔は本当に悲しんじゃなくて素なんだと……」

「何ぶつぶつ言ってるのよー!」

「ねぇねぇ、それで私達のお願い聞いてくれるの?」

「お願い……します……」

「解った! 解ったからそんなに引っ付くな暑苦しい!」


 流石に台詞のみで四人は難しいね。
 因みに、『……』があるのがルナサ、『!』が語尾についてるのがメルラン、一番喋り方が地味なのがリリカです(お




* * *





・23

「なにか珍しい食べ物とかはあるかしら?」

「食べ物……と言っても難しいな。普通の道具と違って長期間置けない物が多いしね」

「? 外の世界の食べ物は、長期保存に適した物も多いと紫様から聞いた事がありますが……」

「まぁね。でもそういうのは大概、中身は幻想郷でも普通に食べられる物だよ」

「そうなんですか……」

「……まぁ、『食べ物』は兎も角、『飲み物』なら珍しいのを幾つか仕入れてるけどね」

「あら、そうなの? ならご一緒にどうかしら?」

「これは商品なのだが……。まぁ、良い。代金は払ってもらうよ?」

「えぇ、代金分妖夢が働いてくれますわ」

「はぇ!?」

「そうか、ならまずはお摘みを用意してもらおうかな」

「それは良いわね。妖夢、沢山お願いね」

「え? え!? ……………………みょふん!?」


 某スレでも良く言われてるけど、霖之助さん、妖夢、幽々子の三人はこういう関係が似合うなぁ。




* * *





・24

「おはこんばんちは、霖之助さん」

「……紫、ちゃんと入り口から入ってくれ、と何回も言ったと思うが……おや? 式も一緒とは珍しいじゃないか」

「こんにちは、店主殿」

「あら、霖之助さんは私よりも藍が来た事の方が嬉しいのかしら?」

「当然だ、君と違って胡散臭くないしね。……君も少しは見習ったらどうだい?」

「失敬な! 紫様から胡散臭さを取ったら何が残るというのです!」

「…………藍、今から二人でちょっとお話しましょうか。とても大切なオハナシをね」

「ひぅ!?」

「おおぅ……。九本もの尾の毛が一斉に逆立つと、流石に迫力が出るな」

「て、店主殿! 暢気に観察してないで助けてくださいよ!」

「いや、今のは君の自業自得だろう。……あぁ、頼むから騒ぐのは外でやってくれよ?」

「心配しなくとも、霖之助さんに迷惑は掛けませんわ。……さぁ藍、向こうに行きましょうか?」

「店主殿のひとでなしいぃぃぃぃ……」

「僕は初めから人間じゃないよ……半分は」


 文花帖の紫の記事に続きます(嘘




* * *





・25

「……ん? こんな夜更けに物音が……?」

『何か良い物あった?』 『暗くて解らないわよー。もっと明かりを強く出来ないの?』 『蛍の光程度じゃそんなに明るくならないよ。それに、あんまり強くすると此処の人にばれるよ?』 「……もうばれてるんだが」

「「ひぅッ!?」



「さて、お二人はこんな夜更けに何の御用かな? ……まぁ、お客様ではない事は確かだね」

「仕方ない、逃げようリグル! 〜〜〜ッ♪」

「ッ!? 視界が急に暗く!?」

「あ、待ってよミスティア! えい! 此処は君達に頼んだよ!」

「ん? 羽音……? 痛ッ!?」

「「すたこらさっさ〜♪」



「こら待て! ……やれやれ、視覚が奪われては追い掛けようが無いな。寝るか」


 妖怪二人が明かりに使っていたのは、リグルが呼んできた蛍です。
 リグル当人は光りませんからね、雌だし。




* * *





・26

「……ん? やぁ、慧音……珍しいね竹林に居るなんて……」

「あぁ、霖之助か。私はちょっと妹紅に用があってな……って、どうしたんだ!? 顔色が悪いぞ!?」

「実は……昨夜蟲に刺されてね。どうやら、毒持ちだったらしい。今から永遠亭に向かう、所だ」

「馬鹿者! どうして一晩も放っておいたんだ!? せめて応急処置くらいはしておけ!」

「いやはや、これくらいなら寝れば治るかと思ったんだがね……。やはり、妖怪が使役する蟲は普通とは違うのかもな」

「感心している場合か! 兎に角、肩を貸せ」

「むっ……? いや、僕は一人でもだいじょ……ぐッ!」

「苦しげに呻いてる奴の言う事か。ほら、私が永遠亭まで連れて行ってやる」

「……すまん、慧音……」

「礼が言いたいんだったら、治ってから言いに来るんだな。私の所まで」

「……そうだな」


 当サイトは慧音と霖之助幼馴染説推進派です。
 どっちが年上か、とかはその都度変わったりしますが(笑




* * *





・27

「やれやれ、やっと永遠亭が見えてきたな……」

「すまない、苦労を掛けるな……」

「馬鹿者、それは言わない約束だろ……って、まるっきりお約束な台詞だな」

「言われてみればそ……うあッ!?」

 ――ズドーン!

「霖之助!? ……きゃあッ!」

 ――ズドーン(その二)!

「つつ……何だこれ、落とし穴か……?」

「こんな下らないものを仕掛けるのは……てゐ!」

「わーお、我ながら引っかかる奴が居るとは思わなかったよ。……生きてる?」

「このくらいで死ぬか! 死んで堪るか!? ……ってそうだ、霖之助大丈夫か!?」

「なん、とかね……ぐぅ……」

「? 霖公どっか悪いのか?」

「この通り、だ……。出来れば早急に……君のお師匠様を呼んで欲しいね……」

「むむ、これでは急病人に更なる深手を負わせた悪魔みたいだな、私」

「みたい、では無く今の君は完璧にそうだよ……」

「よっしゃ、今すぐ呼んでくるよ! 御代は後で構わないウサ!」

「「金取る気かッ!?」」


 てゐの最後の言葉は勿論冗談です(語尾に『ウサ』って付いてるしね!
 それは兎も角、慧音の方が目立っているような……?




* * *





・28

「――毒自体は大した強さでは無いわね。唯、半人半妖の特殊な体質故に通常以上に毒が身体に残って、中毒症状を起こしているのね」

「ふむ、と言う事、は……特に命の危険は無いと?」

「えぇ、放っておいてもじきに良くなるわよ。……でも、貴方にも効果がある毒、ねぇ……。興味あるわ」

「…………なんだか目が怖いのだが」

「心配しなくても、ちょーっと血を取らせてもらうだけよぉ♪」

「明らかにそれ以上する気だろう!? それと語尾に『♪』なんて付けるな年甲斐も無く!」

「ッ!!? ウドンゲ、やっておしまい!」

「はーい」

「うわ鈴仙!? 君まで何をする!?」

「店主さんごめんなさいね。此処で貴方を逃がしたら後で怒られるのは私なので――ッ!」

「ぐッ!? 身体が……」

「うふふフ……毒に加えて狂気の瞳でもう指一本も動かせないでしょう? さながら今の貴方はまな板の上の鯉……ッ!」

「――ッ!?」


 この後慧音が助けに飛び込んできます。
 でも、その時霖之助は半裸に剥かれていたので更なる惨劇が……!




* * *





・29

「うぅ……酷い目にあった……」

「まったくだ! 仮にも医療に携わる者が病人に乱暴を働くなど――」

「教育者は良いのかい?」

「ごめんなさい」

「よろしい」

「……何やってるのかしら? 人の屋敷の廊下の真ん中で頭なんか下げて」

「おや、輝夜じゃないか」

「私の質問はまるっきり無視? ……まぁ良いわ。それにしても珍しいわね、貴方達が此処を訪れるなんて」

「…………あぁ、まぁ色々とあってね……」

「何だかえらく疲れてるわね? ……そうだわ、折角だからお茶でも飲んで行く? 今なら私特製のお菓子も付けるわよ」

「……そこに何か変な薬とか入れたりしないだろうね?」

「まさか、永琳じゃあるまいし。 ……それに、私は無理矢理するよりも合意の上でする方が好みだわ」

「ッ!?」

「あらあら、どうしたのかしら? 急に店主を背後に庇っちゃって?」

「フーッ!」


 悪女な姫様は好きですか?
 私は大好きです。




* * *





・30

「……ん? あれは……妹紅か」

「そう言うあんたは森近に慧音……ってどうしたん? 随分と機嫌悪そうだけど」

「…………」

「あぁ、彼女は気にしないでくれ。僕にも良く解らなくてね」

「ふ〜ん……。どうせ森近の事だから、また何かした……あ、いやあんたの場合は何もしなかったのか」

「? 言っている意味が良く解らないな? とりあえず僕は何もしてないよ」

「森近はこう言ってるけど……どうなの、慧音?」

「……あぁ、確かに霖之助は特に何もしてないな。唯、屋敷の主からお茶をご馳走になったくらいだ」

「…………何? 本当なのか森近?」

「ん? あぁ。……普段の言動から家事とか出来ない印象があったが、あのレベルの菓子が作れるのならその認識も改めねばな」

「……何だか、あいつの手作りみたいな言い方だな」

「みたいな、じゃなくて実際に彼女の手作りだったんだが。……って、どうした? やけに顔が怖いが……」

「ふ、ふふ……いや、何でも無いさ……。それより、もう良い時間だから私の家で夕食でもどうだ? 旨い焼き鳥をご馳走するぞ」

「あぁ、それは良いな。焼き鳥だけではあれだから、私も何か作ってやろう」

「おい、勝手に話を……って引っ張るなーッ!?」


 上は単に輝夜への対抗心から夕食に誘っただけですよ?
 個人的に霖之助さんと妹紅は良い友人になれると思います。














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